日本人にもなじみが深い上海の人口約2,500万人で、中国国内で重慶に次いで人口が多く、域内総生産(GDP)は中国ではトップの都市です。

上海は金融都市・商業都市としての色彩が強く、日本人だけでなく多くの外国人が暮らしています。
上海の在留邦人は2012年の57,458人をピークに減少していますが、ロサンゼルス、バンコク、ニューヨークに次いで在留邦人が多い海外都市です。

中国の都市の中では治安は比較的良く、日本と同じように四季があるので、日本人が暮らしやすい都市と言えるでしょう。

上海への赴任や移住が決まると、日々の生活の物価や必要費用の詳細が気になります。

この記事では、上海の住宅事情や家賃、水道光熱費、インターネット費用、食費、医療費、交通費などの生活物価について解説します。

 

住宅事情と家賃

住宅事情と家賃<Photo by S O C I A L . C U T on Unsplash>

最近の上海の家賃は、東京と同じ水準かそれ以上で、世界的に見てもかなり高いと言えます。

治安の良い高級住宅街エリアは、ワンルームマンションでも平均家賃は約25万円(16,000元)もするのでで、東京と比べても上海の家賃は高いです。
日本人が多く暮らしているエリアは長寧(チョウネイ)、静安(セイアン)、徐汇(ジョカイ)、黄浦(コウホ)、浦東新区(ホトウ)でしょう。

簡単に人気各エリアの説明をします。

長寧(チョウネイ)

外国人居住区としての歴史が最も古く、日本人が多く住み、日本料理店や日本人学校などが集中しています。

静安(セイアン)

中心部にある区で、いわゆる高級住宅街にあたり、日本人だけでなく外国人居住者の多いエリアです。

徐汇(ジョカイ)

オフィスビルやデパートが立ち並び、近年発展が目覚ましいエリアです。旧上海時代資本家や有名人たちの旧居が数多く残っていて、おしゃれな飲食店も多いです。

黄浦(コウホ)

上海市中心部で、金融や貿易の中心エリアでもあります。外国人向け高級サービスアパートメントが多く、日本人もたくさん住んでいます。

浦東新区(ホトウ)

近年発展が最も進んでいるエリアです。上海浦東国際空港もあるので、日本との行き来もしやすいです。日本人学校もあるので、日本人居住者も増加傾向にあります。
各地区の家賃目安は以下のとおりです。

 

住宅事情と家賃

<Photo by Steve Long on Unsplash>

長寧 3LDK マンション 160平米程度
約31万~39万円(20,000元~25,000元)

静安(セイアン) 3LDK マンション 160平米程度
約31万~39万円(20,000元~25,000元)

徐汇(ジョカイ) 3LDK マンション 160平米程度
約28万~35.5万円(18,000元~23,000元)

黄浦(コウホ) 3LDK マンション 160平米程度
約26万~31万円(17,000元~20,000元)

浦東新区(ホトウ) 3LDK マンション 160平米程度
約28万~35.5万円(18,000元~23,000元)

敷金・礼金は、上海では敷金は家賃の2か月分が相場で、原則として退去時に全額戻ってきます。

礼金や印紙税などは不要で、賃貸物件を借りる際には、家賃2か月分の敷金と前家賃(家賃の1か月分)、仲介手数料が必要です。

上海で賃貸物件を借りる際の注意点として、日本では同じマンションの場合、同じ間取りの部屋は内装がほぼ同じですが、上海では同じマンションでも部屋ごとに全く内装が違ってきます。
また、高級マンションであっても、内装や設備が貧弱なことがあるので、必ず自分の目で確認したうえで契約することが必要です。

上海の治安は比較的良いですが空き巣や泥棒は発生しており、防犯対策がきちんと施されているのかも事前に確認しておくことも大切です。

医療事情と医療費

医療事情と医療費<Photo by 紺色らいおん on Photo AC

上海の医療環境は全体的に良く、上海で暮らしている日本人は外国人向けクリニックを利用することが多いです。外国人向けクリニックは医療水準が高く、日本の総合病院と同レベルの高度医療が受けられます。

代表的な外国人向けの医療施設は、徐汇区のラッフルズジャパニーズクリニックは日本人医師常駐ですので安心です。

長寧区では、20年以上の歴史を持つサクラガーデンクリニックが、日本人医師による診療で評判です。
海外資本の外国人向けクリニックであっても、日本語通訳スタッフがいるので日本語で意思疎通ができます。

ただし、上海の外国人向けクリニックは自由診療であるため、軽い風邪でも15,000円(約1,000元)程度の治療費がかかることがあります。
あらかじめ海外旅行保険や、企業が契約している保険サービス、または個人で加入できる保険に入っておきましょう。

現地で個人が加入できる医療保険としては、MSH China(英語)、またはハイエンド医療保険が代表的です。

スタンダードプランであれば、月額18,000円程度で加入できます。

水道・光熱費

水道・光熱費<Photo by 藤井志紀 on Photo AC

上海の水道は安全基準を満たしているものの、錆が混じることがあるので飲用には適しません。
賃貸物件には浄水器やウォーターサーバーが完備しており、調理などにきれいな水を使えます。
1か月分の水道代は900円(約60元)程度ですので、日本よりも安いです。

上海の緯度は鹿児島県とほぼ同じで、日本のような四季があり、梅雨が明けると蒸し暑くなるなど、気候は日本とよく似ています。
ただし、冬はとても寒く氷点下になることがあります。

上海の夏は日本と同様にとても蒸し暑く、日中は40℃を超えることがあるため、エアコンはフル稼働の状態になります。

また、上海は大気汚染がひどく空気清浄機は必需品で、夏場の電気代は12,000円(800元)程度かかります。
冬も寒いので暖房は常につけている家もあり、夏と同じ程度の電気代がかかりますが、冷暖房を使用しない季節であれば電気代は3,000円(約200元)程度に収まりそうです。

インターネット事情と通信費用

インターネット事情と通信費用<Photo by はむぱん by Photo AC

上海は街中にWi-Fiスポットがあり、インターネット環境は中国で最も充実しています。
ただし、中国政府によるインターネット規制で、GoogleやFacebook、LINEなどの海外のサービスはほとんど使用できません。

日本人駐在員の多くは、上海に渡航する前に中国からのアクセス情報を変換するVPNサービスを契約しています。
VPNサービスを利用すると上海でもGoogleマップなどを利用できますが、VPNサービスを使えないタイミングもあります。

日本人駐在員の多くが使っているセカイVPNの月額料金は1,000円程度になります。

ほとんどの物件で部屋のWi-Fiは家賃に含まれていますが、通信が途切れることがよくあるので、部屋を借りる際には電波の状態などもチェックしておくことが必要です。
スマートフォンの料金は、データ容量3GBの音声プランで900円(約60元)程度ですので、日本よりも安いです。

交通費

交通費<Photo by Denys Nevozhai on Unsplash>

上海は地下鉄や路線バスなどの公共交通機関が発達しており、全ての公共交通機関は「上海公共交通カード」で運賃を支払えます。
地下鉄の運賃は45円(約3元)~135円(約9元)、路線バスは45円(約3元)、タクシーの初乗り運賃は240円(約16元)程度と、日本と比べると交通費は安いです。

上海の治安は比較的良いですが、タクシーを利用して運賃を支払う時に交通カードをすり替えられることがあるので、気を緩めてはいけません。
日本人駐在員は自家用車を所有するケースが多いですが、ガソリン代は日本とほぼ同じで、1リッターあたり135円(9元)程度です。

公共交通、タクシーを用いる場合の1か月の交通費は20,000円程度でしょう。

食費

食費

<Photo by Yiran Ding on Unsplash>

食料品はどこで買うかによって値段が大きく変わりますが、日系スーパーが最も高く、外資系スーパー、ローカルスーパーの順に価格は下がります。

目安としては、外資系スーパーはローカルスーパーの約2倍、日系スーパーはさらに2倍という感覚です。日系スーパーはイトーヨーカドーやイオン、アピタなどがあり、外資系スーパーはウォルマートやカルフールなどがあります。
外食の価格は日本よりも少し安い程度で、日本食レストランの定食は600円(約40元)、おしゃれなレストランでのランチは1,200円(約80元)、ディナーは3,000円(約200元)程度です。

日系スーパーや外資系スーパーを主に利用した場合の1か月の食費は70,000~80,000円程度が目安でしょう。

まとめ

まとめ<Photo by David Veksler on Unsplash>

上海での1か月の生活費は約47万円になります。

家賃 350,000円 長寧エリア3LDK
医療費 18,000円 現地で日本人向け医療保険に加入
水道・光熱費 13,500円 夏季エアコン稼働時
通信費 2,000円
交通費 20,000円
食費 70,000円
合計 473,500円

上海は家賃が高いので、家賃が生活費のかなりのウェイトを占めます。

高級住宅街から離れ、床面積が狭い物件を探せば150,000~200,000円程度でも賃貸物件はありますが、治安や交通の便の問題がついてきます。

上海で賃貸物件を探す際には、内装や設備、水回りなどを入念にチェックすることも必要で、上海での物件探しはかなりの苦労を伴います。
マンスリーマンションやサービスアパートメントのような管理の行き届いた物件であれば、万一、トラブルが発生してもすぐに管理会社が対応してくれるかもしれません。

また、家具や家電製品などもあらかじめ完備されているので、マンスリーマンションやサービスアパートメントであれば、すぐに入居して快適な生活を送れます。

日本人向けのマンスリーマンションやサービスアパートメントは、ハウスキーピングや日本語での対応サービスなどが付いているものが多く、1年間の長期契約にすることも可能です。

上海での家探しの苦労を軽減したい方は、手軽に借りられ、ホテルのように暮らせるマンスリーマンションやサービスアパートメントも選択肢に入れるとよいでしょう。

 

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